高校美術Ⅰ|色彩学の基礎と配色の調和を学ぶ授業

私たちの身の回りには、たくさんの色があります。

青い空、緑の木々、赤く熟したリンゴ。

普段は当たり前のように見ている色ですが、そもそも私たちは、どうして色を見ることができるのでしょうか。

今回の美術Ⅰでは、これから取り組む「色彩デザイン」の導入として、色彩学の基礎を学びました。

色の仕組みを科学的に理解し、色の特徴や組み合わせ方を知ることで、自分のイメージを色で表現する力を育てていきます。

目次

1.私たちは、どうして色が見えるのだろう?

授業の最初は、こんな問いから始めました。

「赤いリンゴは、どうして赤く見えるのでしょう?」

私たちが色を見るためには、「光」「物体」「目」「脳」の働きが必要です。

太陽の光には、さまざまな波長の光が含まれています。

赤いリンゴに光が当たると、リンゴの表面は赤く見える波長の光を比較的多く反射し、その光が私たちの目に届きます。

そして、網膜にある視細胞が光を受け取り、その情報を脳が処理することで、私たちはリンゴを赤いと認識します。

つまり、色は物体だけで決まるものではなく、光と私たちの視覚の働きによって生まれる感覚なのです。

2.光には、さまざまな波長がある

太陽光には、さまざまな波長の光が含まれています。

そのうち、人間の目で感じ取ることができる範囲を「可視光」といいます。

可視光は、およそ380〜780nm(ナノメートル)の範囲です。

短い波長側には紫や青、長い波長側には橙や赤があります。

さらに興味深いのは、動物によって感じ取れる光の範囲が異なることです。

例えば、ミツバチは紫外線を感じ取ることができ、花の模様を人間とは違った形で捉えています。

また、トナカイも紫外線を感じ取ることができるとされています。

一部のヘビには、赤外線を感知する特別な器官があり、周囲の動物が発する熱を捉えることができます。

「私たちに見えている世界が、すべてではない」

色彩学を通して、そんな自然界の不思議にも触れました。

3.色を感じる目の仕組み

人間の網膜には、光を感じる視細胞があります。

そのうち、明るい場所で色を見る働きを担っているのが「錐体(すいたい)」です。

錐体には、主に長波長・中波長・短波長の光に反応する3種類があります。

これらの反応の組み合わせによって、私たちは多くの色を見分けています。

色を見るということは、目だけでなく、脳の働きとも深く関係しているのです。

4.色の三属性 ― 色相・明度・彩度

色には、大きく分けて3つの特徴があります。

これを「色の三属性」といいます。

① 色相(Hue)

赤・黄・緑・青・紫など、色みの違いを表します。

色相を円形に並べたものを「色相環」といい、色同士の関係を理解するために使います。

② 明度(Value)

色の明るさの度合いを表します。

白に近づくほど明度は高く、黒に近づくほど明度は低くなります。

③ 彩度(Chroma)

色の鮮やかさの度合いを表します。

鮮やかな色は彩度が高く、くすんだ色は彩度が低くなります。

無彩色である白・灰色・黒には、彩度がありません。

同じ赤でも、明るい赤、暗い赤、鮮やかな赤、くすんだ赤など、さまざまな表情があります。

この三属性を理解することで、色をより具体的に捉えられるようになります。

5.マンセル表色系で色を立体的に考える

色の三属性を理解するために、「マンセル表色系」も紹介しました。

マンセル表色系では、色を色相・明度・彩度の3つの属性によって整理します。

色立体では、縦方向が明度、中心から外側への距離が彩度、中心軸の周囲に色相が配置されています。

実際のマンセル色立体は、すべての色相で同じ彩度まで存在するわけではないため、外側が不規則な形になります。

色は単に横一列に並ぶものではなく、立体的に整理できることを学びました。

6.配色の調和 ― 色の組み合わせを考える

色の特徴を学んだ後は、色彩デザインにつながる「配色」について考えました。

今回の授業では、配色の調和を大きく3つに分けて紹介しました。

① 同一調和

同じ色相を使い、明度や彩度を変えて組み合わせる配色です。

赤の同一調和、青の同一調和、緑の同一調和などを例にしました。

まとまりがあり、統一感のある印象をつくりやすい配色です。

② 類似調和

色相環で隣り合う色や、近い色相を組み合わせる配色です。

例えば、黄緑・緑・青緑などです。

自然なつながりが生まれ、穏やかで調和のとれた印象になりやすい配色です。

③ 対比調和

色相環で離れた色や、補色の関係にある色などを組み合わせる配色です。

例えば、青とオレンジ、赤と緑、紫と黄色などです。

色同士の違いが際立ち、印象的でメリハリのある配色になります。

ただし、どの配色も色の面積や明度、彩度によって印象が変わります。

配色には一つの正解があるのではなく、どのような印象を表現したいかによって選び方が変わることを伝えました。

7.配色実習 ― 3色でイメージを表現する

色彩学の学習を終えた後は、3色の配色実習に取り組みます。

まず、同一調和・類似調和・対比調和について、それぞれ3つずつ配色を考えます。

さらに、最後の課題では、自分で自由に3色を選び、その配色から感じられるイメージを言葉にします。

例えば、

  • 優しい、穏やか、温かい
  • 元気、楽しい、にぎやか
  • 静か、涼しい、落ち着いた
  • 不思議、幻想的、神秘的

などです。

同じ3色でも、組み合わせ方によって受ける印象は変わります。

そして、同じ配色を見ても、感じ方は人によって異なります。

自分が選んだ色からどのような印象を感じるのかを考えることは、自分自身の感性に目を向けることにもつながります。

8.色彩学から色彩デザインへ

今回の授業では、色の見え方から始まり、光と視覚の仕組み、色の三属性、マンセル表色系、そして配色の調和までを学びました。

これからの色彩デザインでは、こうした知識を生かしながら、自分のイメージを色や形で表現していきます。

色彩学は、色を正しく分類するためだけの学問ではありません。

色を知ることで、今まで気づかなかった色の美しさや、組み合わせの面白さに出会うことができます。

そして何より、自分が「美しい」「心地よい」「好きだ」と感じる色を大切にしてほしいと思います。

色には、私たちの心を動かす力があります。

色の仕組みを知ることから始まった学びが、一人ひとりの感性を生かした色彩表現へとつながっていくことを願っています。

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