人はなぜ表現するの?|アートのはじまりと「私の守り神」

アート史を学び、、アートのはじまりについて考えます。

人は、文字が生まれるよりもずっと前から、洞窟の壁に絵を描いたり、小さな像をつくったりしてきました。

でも、なぜ人は絵を描いたのでしょう。

なぜ、生活に必要な道具だけではなく、「何かを表すもの」をつくったのでしょう。

今回は、古代の作品を見ながら、

「人はなぜ表現するのだろう?」

という問いから、美術の歴史をたどってみます。

後半は、古代の造形から発想を広げ、自分の願いを形にした**「私の守り神」**を描きます。

目次

アートのはじまりを見てみよう

人類は、はるか昔から絵や造形を残してきました。

洞窟の壁には、動物や人の姿、手形などが描かれています。

なぜ、このような絵を描いたのでしょう。

狩りの成功を願ったのでしょうか。

何かを伝えるためだったのでしょうか。

あるいは、自分たちが見たものや感じたことを残したかったのでしょうか。

文字による記録が残っていないため、本当の理由をすべて知ることはできません。

だからこそ、

「なぜ、こんなものをつくったのだろう?」

と作品を見ながら想像してみることも、美術史のおもしろさの一つです。

《ヴィレンドルフのヴィーナス》を見てみよう

今回注目するのは、先史時代につくられた小さな女性像、**《ヴィレンドルフのヴィーナス》**です。

手のひらに収まるほどの小さな像で、身体の一部が大きく強調され、顔にははっきりとした表情が表されていません。

この像が、何のためにつくられたのかは、はっきりとは分かっていません。

生命や豊かさなどと関連づけて解釈されることもありますが、その意味についてはさまざまな考え方があります。

ここでは「正解」を覚えるのではなく、まず作品をじっくり見てみます。

なぜ、このような形をしているのでしょう。

この小さな像に、どんな思いが込められていたのでしょう。

自分なりに想像してみましょう。

今の自分なら、何を願う?

ここからは、古代の人々の造形から、現代を生きる自分へと視点を移します。

もし、自分の願いを守ってくれる存在がいるとしたら、何を願うでしょう。

健康。

安心。

勇気。

友情。

家族。

夢。

自由。

平和。

幸せ。

もちろん、ここにないものでもかまいません。

「今の自分が大切にしたいものは何だろう?」

少しだけ、自分の心に目を向けてみます。

制作|「私の守り神」を描こう

自分が大切にしたいものや願いが決まったら、それを守ってくれる**「私の守り神」**を考えます。

《ヴィレンドルフのヴィーナス》をそのまま描き写す必要はありません。

古代の造形をヒントにしながら、自分なりの形へ発展させてみましょう。

人のような姿でもいい。

動物のような姿でもいい。

丸や三角、曲線などを組み合わせた不思議な形でもかまいません。

大切なのは、

「この形には、こんな意味がある」

と、自分なりに考えながら表現することです。

色を使う場合には、色にも意味を持たせてみましょう。

元気を感じる色。

安心する色。

強さを感じる色。

自分の願いに合った色を選ぶことも、表現の一つです。

守り神に物語をつけよう

作品が完成したら、自分がつくった守り神について簡単に書いてみます。

守り神の名前

________________

この守り神が守ってくれるもの

________________

この形や色にした理由

________________

絵と一緒に言葉を残すことで、自分が作品に込めた思いも伝わりやすくなります。

この授業で大切にしたいこと

美術の歴史を振り返ってみると、人はとても長い間、絵を描き、ものをつくり続けてきたことが分かります。

その理由は、一つではなかったでしょう。

何かを伝えるため。

何かを記録するため。

願いや思いを表すため。

そして、ただ「つくりたい」「表したい」という気持ちから生まれたものもあったのかもしれません。

今回の授業では、

作品を見る。
「なぜだろう?」と考える。
自分の心にあるものを見つける。
そして、それを形にする。

という流れを体験します。

美術とは、目に見えるものを上手に描くことだけではありません。

目には見えない思いや願いも、色や形にすることができます。

「私の守り神」を通して、そんな表現のおもしろさを感じてもらえたらと思います。

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