作品を「見る・考える・伝える」
作品が完成したら、最後にまとめ(鑑賞)レポートを制作します。
このレポートは、ただ感想を書くだけのものではありません。
自分の作品を振り返り、友達の作品を鑑賞し、それを**「どうすれば見やすく、楽しく、わかりやすく伝えられるか」**を考えて、一枚のページにまとめます。
つまり、鑑賞レポートそのものがひとつのグラフィックデザインです。
ミニ講義10〜15分 → 鑑賞・情報収集15分 → サムネイルスケッチ15分
ミニ講義「見やすいデザインって何だろう?」
鑑賞レポートも、一つのグラフィックデザインです。
まずはスライドを見ながら、「見やすく、伝わるデザイン」の基本を学んでみましょう。
今回の課題
個人画材のB4サイズのスケッチブックに、鑑賞レポートを制作します。
レイアウトは自由です。
鉛筆、色鉛筆、カラーペン、水彩など、使用する画材も自由です。
自分の作品の雰囲気や、好きな色・モチーフなどを取り入れながら、「自分らしい一枚」に仕上げてみましょう。
レポートに入れる内容
① ページタイトル
ページ全体につけるタイトルを自分で考えます。
単に「鑑賞レポート」でも構いませんが、作品のテーマや今回の制作を振り返って、自分らしいタイトルを考えてみてもいいでしょう。
② 自分の作品について
自分が制作した作品を、もう一度じっくり振り返ってみましょう。
工夫した点
どんなところを工夫しましたか?
色、形、構図、材料、技法、アイデアなど、具体的に書いてみましょう。
上手くいった点
「ここは思ったようにできた」「最初より上手くできた」と感じるところを書きます。
一番評価してほしい点
先生や友達に「ここを見てほしい!」と思うところはどこでしょう?
自分の作品の一番の見どころを紹介してください。
③ 他の生徒の作品を鑑賞する
教室にある作品をゆっくり見て回ります。
ただ「上手」「かわいい」「すごい」で終わらせず、
どこを見てそう感じたのか
まで考えてみましょう。
一番完成度が高いと思った作品
- 作品名
- 生徒番号・氏名
- そう思った理由
自分が好きな作品
- 作品名
- 生徒番号・氏名
- 好きだと思った理由
興味をもった作品
- 作品名
- 生徒番号・氏名
- どこに興味をもったのか
「完成度が高い作品」と「好きな作品」は、同じとは限りません。
技術的に完成度が高い作品もあれば、なぜかわからないけれど心を引かれる作品もあります。
自分は何に惹かれたのか?
そこまで考えてみることも鑑賞です。
④ この学期を通しての感想
この学期の美術を振り返ります。
作品のことだけでなく、
- 「初めて知ったこと」
- 「難しかったこと」
- 「できるようになったこと」
- 「楽しかったこと」
- 「次にやってみたいこと」
などを書いてみましょう。
では、どうやって一枚にまとめる?
ここからがグラフィックデザインです。
文章を全部書いてから空いているところに絵を描くのではなく、
最初にページ全体を設計します。
STEP 1 情報を整理する
まず、このページに何を載せなければならないか確認します。
「タイトル」
「自分の作品について」
「他の生徒の作品鑑賞」
「学期を通しての感想」
大きく分けると、この4つです。
どの情報を大きく見せたいでしょう?
どこから読んでもらいたいでしょう?
まずは情報の「優先順位」を考えます。
STEP 2 大きなレイアウトを考える
レイアウトとは、
「何を、どこに、どのように配置するか」
を考えることです。
ポスター、雑誌、チラシ、Webサイト、パッケージなど、さまざまなデザインに使われています。
例えば、
- 縦に分ける
- 横に分ける
- 斜めに分ける
- 中央にタイトルを置く
- 大きな円を使って区切る
- 雑誌のように写真や文字を組み合わせる
など、いろいろな方法があります。
いきなり描き始めず、まずは小さく簡単なレイアウト案をいくつか描いてみましょう。
STEP 3 ページ全体のイメージを決める
レイアウトが決まったら、ページ全体の「世界観」を考えます。
例えば、
海/空/花/植物/お菓子/音楽/宇宙/動物/幾何学模様/好きなキャラクター/和風/レトロ
など。
そして、
どんな色を使うか?
も考えます。
色をたくさん使う方法もありますが、2〜4色程度に絞るとページ全体に統一感が出やすくなります。
STEP 4 文字にも「大・中・小」をつける
全部の文字を同じ大きさで書くと、どこから読めばよいのかわかりにくくなります。
大見出し → 中見出し → 本文
というように文字の大きさに差をつけます。
例えば、
「MY ART REPORT」
↓
「自分の作品について」
↓
「工夫した点」
↓
説明文
というように情報に階層をつけます。
これはポスターや雑誌、Webデザインでも使われる大切な考え方です。
STEP 5 細部をつくり込む
最後に、文字、色、イラスト、囲み、線、模様などを加えて仕上げます。
ただし、飾れば飾るほどよいわけではありません。
大切なのは、
「見やすい」「伝わる」「自分らしい」
の3つです。
少し何も描かない場所――余白を残すこともデザインの一部です。
45分×2時間の進め方
1時間目|情報整理とレイアウト
最初に鑑賞を行い、自分の作品と友達の作品について書く内容を整理します。
そのあと、小さな紙などにレイアウト案を考えます。
「どこにタイトルを置こう?」
「どこを一番目立たせよう?」
「どんな色やモチーフにしよう?」
と考えて、ページ全体の設計図を作ります。
2時間目|デザイン・制作
決めたレイアウトをもとに、B4スケッチブックに制作します。
文字の大きさ、色、囲み方、余白なども意識しながら仕上げます。
最後に少し離れたところからページ全体を見て、
「どこから読めばいいかわかる?」
「一番大切なところが目立っている?」
「色やデザインに統一感がある?」
と確認して完成です。
レポートの評価ポイント
鑑賞レポートでは、文章の量だけを評価するわけではありません。
① 内容
自分の作品や友達の作品について、具体的に考えて書いているか。
② 情報の整理
タイトル・見出し・本文などが整理され、読む順番がわかりやすいか。
③ レイアウト
文字やイラストなどが、ページ全体を考えて配置されているか。
④ デザイン
色、文字、モチーフなどに工夫や統一感があるか。
⑤ 自分らしい表現
自分なりのアイデアや工夫が表れているか。
最後に
鑑賞とは、作品を見て「上手」「きれい」と感想を言うだけではありません。
見る → 感じる → 考える → 言葉にする
ことです。
そして今回は、さらにもう一歩進んで、
どうすれば、それを人にわかりやすく伝えられるか
まで考えます。
一枚の鑑賞レポートの中にも、色彩、構成、文字、レイアウト、余白など、たくさんのデザインがあります。
文章を書くことも、絵を描くことも、ページを構成することも、すべて「表現」です。
自分だけの鑑賞レポートをデザインしてみましょう。

