私たちの身の回りには、さまざまな色と形を組み合わせたデザインがあります。
今回の美術Ⅰでは、色彩学の基礎を学んだ後、その知識を生かした「色面構成」に取り組みます。
使う形の条件は、とてもシンプルです。
直線1本・曲線2本・正円1個。
同じ条件でも、線の方向や曲がり方、円の大きさや位置を変えるだけで、まったく違う構成が生まれます。
色と形の組み合わせを考えながら、自分らしい美しい画面をつくっていきます。
1.色面構成とは?
色面構成とは、色のついた面を組み合わせ、画面全体のバランスや調和を考えて構成する表現です。
具体的な人物や風景を描かなくても、色や形だけで、リズムや動き、安定感、緊張感など、さまざまな印象を表現できます。
今回は、直線・曲線・正円を組み合わせた幾何学的な構成に挑戦します。
2.制作の条件
今回の作品では、次の条件を設けます。
- 直線:1本
- 曲線:2本
- 正円:1個
- 制作用紙:A4サイズの方眼ケント紙
- 彩色:絵の具を塗り重ね、ムラの少ないマットな色面を目指す
限られた条件の中で、どのような画面をつくることができるでしょうか。
線や円の配置を変えるだけで、画面の印象は大きく変わります。
3.STEP 1|エスキースで構成を考える
まずは、エスキース(構想のための小さな下描き)を行います。
直線1本、曲線2本、正円1個を使い、さまざまな構成を考えてみましょう。
この段階では、色を塗る必要はありません。
線の方向や円の位置、面の大きさ、余白などを工夫しながら、複数のアイデアを描きます。
同じ条件でも、形の配置によって作品の印象が変わることを発見してほしいと思います。
4.STEP 2|色鉛筆で色彩計画を立てる
構成が決まったら、次は色彩計画です。
色彩学で学んだ「色相・明度・彩度」や「配色の調和」を思い出しながら、色鉛筆で配色を考えます。
同じ構図でも、配色を変えると印象が大きく変わります。
例えば、明るく楽しい配色、静かで落ち着いた配色、力強い対比のある配色などです。
複数の配色を試しながら、自分の表現したいイメージに合う色の組み合わせを選びます。

5.STEP 3|A4方眼ケント紙に下描きする
エスキースと色彩計画が決まったら、A4サイズの方眼ケント紙に下描きをします。
定規やコンパスなどを使い、直線・曲線・正円を丁寧に描きます。
方眼を利用することで、位置や大きさ、画面全体のバランスを確認しやすくなります。
下描きの線は必要以上に濃くせず、彩色の邪魔にならないように整えましょう。
6.STEP 4|絵の具を塗り重ねてマットな色面をつくる
今回はデザインの授業なので、絵の具の塗り方にもこだわります。
目指すのは、筆の跡や色むらが目立たない、均一でマットな色面です。
一度に厚く塗って仕上げるのではなく、絵の具の濃さを調整しながら、薄く丁寧に塗り重ねていきます。
マットな色面をつくるポイント
① 絵の具の濃さを調整する
水分が多すぎると色むらができやすくなります。使用する絵の具に合った濃さを見つけましょう。
② 一度で完成させようとしない
一度目は下の紙が多少透けて見えても、無理に厚塗りしないことが大切です。
③ ドライヤーで乾かす
一度塗った色面をドライヤーで乾かします。
熱を当てすぎず、適度な距離を保ちながら乾燥させましょう。
④ 乾いてから塗り重ねる
前の層が十分に乾いてから、次の色を重ねます。
必要に応じて何度か繰り返し、均一で美しい色面に近づけていきます。
※乾燥方法や重ね塗りの回数は、使用する絵の具の性質に合わせて調整します。
7.今回の授業で大切にしたいこと
今回の色面構成では、同じ形の条件を全員に設定しています。
けれど、完成する作品は一人ひとり異なります。
限られた条件があるからこそ、工夫する楽しさや、表現の多様さに気づくことができます。
また、何度も絵の具を塗り重ね、美しい色面をつくる経験は、丁寧に制作する力や、根気よく取り組む姿勢にもつながります。
色彩学で学んだ知識を、自分の手で表現する力へ。
色と形を通して、それぞれの感性が生きる作品になることを楽しみにしています。
8.STEP 5|完成作品を鑑賞する
作品が完成したら、少し離れた場所から見てみましょう。
近くで見たときには気づかなかった、色のバランスや形のリズムが見えてくることがあります。
また、友達の作品と比較することで、同じ条件から生まれた表現の多様さに気づくことができます。
9.「色面構成」鑑賞レポート
B4スケッチブック1ページに、自分の作品や友達の作品を振り返りながら、色や形を使って自由にレイアウトしましょう。
レポートのまとめ方
今回はグラフィックデザインの学習も兼ねています。文章だけを並べるのではなく、見出しの大きさや文字の配置、色の使い方などを工夫し、B4スケッチブック1ページを一つのデザイン作品として仕上げましょう。
文章は短くても構いません。自分の考えや感じたことを、具体的に表現することを大切にしてください。

① 自分の作品で工夫したこと
直線・曲線・正円の配置や配色など、自分の作品で特に工夫したところを書きましょう。
② マット表現について
絵の具を何度も塗り重ね、ムラのないマットな色面に仕上げることができましたか? 工夫したことや難しかったことを書きましょう。
③ イメージの表現について
タイトルと作品の説明を書きましょう。
自分がイメージした雰囲気や気持ちを、色と形で表現できましたか? その理由も書きましょう。
④ 友達3人の作品を鑑賞しよう
友達の作品を3点選び、それぞれの作品について、色や形の工夫、よいと思ったところ、印象に残ったところを書きましょう。
⑤ 授業全体の感想
色彩学の学習からエスキース、色彩計画、制作、鑑賞までを振り返り、学んだことや新しく発見したこと、感じたことを書きましょう。
