石彫に挑戦しよう|高麗石でつくる自分だけの立体作品
石のかたまりから、自分だけの形を生み出す
石を手に取り、触れ、少しずつ削りながら、自分のイメージした形をつくり出す「石彫」の授業です。
今回使用するのは、比較的柔らかく、加工しやすい高麗石です。
一つの石のかたまりから、どんな形が生まれるでしょうか。
身近なものや生き物を表現しても、自由な発想で抽象的な形をつくっても構いません。
大切なのは、自分が面白いと感じた形を、自分の手で探していくことです。
この授業で学ぶこと
- 立体をさまざまな方向から観察し、形を捉える力を育てる。
- 石の素材や性質を理解し、道具を適切に使う。
- アイディアスケッチから完成まで、計画的に制作する。
- 具象・抽象を問わず、自分らしい立体表現を楽しむ。
準備するもの
材料
- 高麗石(新日本造形・大 3.5×3.5×8.0cm)
- トレーシングペーパー(B5)
- カーボン紙(約4×9cm)
- 新聞紙
制作道具
- 鬼ヤスリ
- 金工ヤスリ
- ノコギリカッター
- 耐水ヤスリセット
- つるぴかシート
※材料の価格や品番は購入時期によって変わるため、注文時に確認してください。
課題1|基本の立体を描いてみよう
石彫の制作に入る前に、球・円柱・立方体を鉛筆で描きます。
立体には、幅・高さ・奥行きがあります。
光の当たり方によって生まれる明暗や、形の構造を観察することで、立体への理解を深めます。
平面に立体を描く経験は、これから石を削り、三次元の形をつくるときにも役立ちます。
※ここに「球・円柱・立方体のデッサン」の記事へのリンクを設置します。
課題2|石彫のアイディアスケッチを描こう
まずは、高麗石を手に取って観察してみましょう。
どんな手触りがするでしょうか。
しっとりとした、石けんのような感触があるかもしれません。
高麗石は比較的柔らかく、削りやすい石ですが、欠けたり割れたりしやすい性質もあります。そのため、細く複雑な形をつくる場合には注意が必要です。
石の色や模様も一つひとつ異なります。
模様のある石なら、その特徴を作品に生かしてみるのも面白いでしょう。
自由な発想で形を考えよう
具象表現でも、抽象表現でも構いません。
生き物、身近な道具、不思議な形、心の中に浮かんだイメージなど、自由に発想してみましょう。
最初から一つに決めず、スケッチブックにいくつかのアイディアを描いてみます。
考えるときのポイント
- 石の大きさに収まる形になっているか。
- 前後左右から見ても魅力的な形か。
- 石の強度を考え、無理なく削れる形か。
- 自分がつくってみたいと思える形か。

課題3|実寸の展開図を作成しよう
アイディアが決まったら、実際の石の大きさに合わせて図面を描きます。
立体作品は、見る方向によって形が変わります。
正面・側面・背面など、必要な方向から見た形を描いて、削る部分を確認しましょう。
円柱のような回転体の場合は、一方向からの図を基本に考えられることもあります。
一方、前後や左右で形が異なる作品では、複数の方向から描いた図が必要です。
頭の中のイメージを、実際につくることのできる形へと整理する工程です。





課題4|石に形を転写しよう
完成した図面をトレーシングペーパーに写し取り、必要な面ごとに切り分けます。
石とトレーシングペーパーの間にカーボン紙を挟み、輪郭線を転写します。
正面と側面など、それぞれの線が正しくつながるように確認しましょう。
この工程を丁寧に行うことで、削りすぎを防ぎ、形を正確に捉えやすくなります。
課題5|石を削って形をつくろう
いよいよ石を削っていきます。
転写した線を確認しながら、どの部分を削り取るのかを考えます。
① 大まかな形をつくる
ノコギリカッターや鬼ヤスリなどを使い、大きく削る部分から作業します。
最初から細部をつくろうとせず、作品全体の形を意識しましょう。
② 細かな形を整える
金工ヤスリなどを使い、少しずつ細部を整えていきます。
正面だけでなく、横や後ろからも観察し、立体としてのバランスを確認します。
③ 表面を磨いて仕上げる
形が整ったら、耐水ヤスリなどで表面を磨きます。
粗いものから細かいものへと順番に使い、表面の傷を少しずつ取り除きます。
必要に応じて仕上げ用のシートを使い、石の質感を生かした作品に仕上げます。
※削る作業では粉じんが発生するため、換気や防じん対策を行い、工具の安全な使い方を確認します。水を使用する工程は、石材や道具の取扱説明に従ってください。
生徒たちの石彫作品
同じ大きさの石から制作を始めても、完成する作品は実にさまざまです。
身近なものをユーモラスに表現した作品もあれば、形の美しさや不思議さを追求した抽象作品もあります。
一つひとつの作品から、生徒たちの自由な発想や個性が伝わってきます。
作品ギャラリー
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制作を振り返って
完成した作品を手に取り、さまざまな角度から鑑賞してみましょう。
- 自分が特に気に入っている形はどこですか?
- 石を削る中で、難しかったことや工夫したことは何ですか?
- 友達の作品から、どんな面白さや発見がありましたか?
制作の過程で、最初のイメージが変化することもあります。
思いどおりに削れなかった部分から、新しい形が生まれることもあるでしょう。
そんな偶然の発見も、石彫の面白さの一つです。
石と向き合い、自分らしい形を見つける
石彫は、一度削った部分を簡単には元に戻せない表現です。
だからこそ、よく観察し、考え、手を動かしながら少しずつ形をつくっていきます。
硬い石の中から、自分だけの形を見つけていく時間。
そこには、絵を描くこととは違った発見や喜びがあります。
同じ材料を使っても、生まれてくる形は一人ひとり違う。
その違いこそが、アートの面白さです。
生徒たちが自分の発想を大切にしながら、石という素材との対話を楽しんでくれたらと思います。
