映画『ゴッホ 最期の手紙』を鑑賞する|動く油絵から感じるゴッホの世界
絵画が動き出す、特別な美術鑑賞
高校美術の授業では、映画『ゴッホ 最期の手紙』を鑑賞する時間を設けています。
この映画は、画家フィンセント・ファン・ゴッホの作品世界を、油絵によるアニメーションで描いた作品です。
ゴッホの絵画に登場する人物や風景が動き出し、まるで一枚の絵の中に入り込んだような体験ができます。
美術館で絵画を鑑賞するのとは、また違った角度からゴッホの世界に触れることができる映画です。
映画『ゴッホ 最期の手紙』について
2017年に公開されたこの映画は、ドロタ・コビエラとヒュー・ウェルチマンが監督を務めた長編アニメーション作品です。
最大の特徴は、約62,450枚もの油絵を用いて制作されていること。
ゴッホの特徴的な筆遣いや鮮やかな色彩が、スクリーンの中で生き生きと動き出します。
物語は、ゴッホが弟テオに宛てた手紙を届けようとする青年アルマン・ルーランを中心に展開します。
青年はゴッホを知る人々を訪ね歩きながら、その人生と最期の日々についてさまざまな証言を聞いていきます。
ゴッホはどのような人物だったのか。
何を思い、何を感じながら絵を描き続けたのか。
映画は、その問いを私たちに投げかけます。
※映画には史実をもとにした創作や解釈も含まれています。
美術の授業で大切にしたい3つの鑑賞の視点
① ゴッホの色彩と筆遣いを感じる
ゴッホの絵画には、力強い筆遣いや鮮やかな色彩が見られます。
映画では、その特徴が動く映像として表現されています。
- どのような色の組み合わせが印象に残っただろう?
- 筆のタッチから、どんな動きや感情を感じただろう?
- 写真や実写映画とは、どのような違いがあるだろう?
色や筆遣いが生み出す表現の豊かさに目を向けます。
② 絵画に込められた思いを考える
ゴッホは、生涯を通して多くの作品を制作しました。
その作品には、自然や人々へのまなざし、そして自分自身の感じた世界が表現されています。
絵画は、目に見えるものを正確に描くだけではありません。
自分が何を感じ、どのように世界を見ているのかを伝える表現でもあります。
映画を通して、ゴッホが絵を描くことに何を求めていたのかを考えます。
③ 人それぞれの感じ方を大切にする
同じ映画を見ても、心に残る場面や感じることは一人ひとり違います。
美しいと感じる場面。
悲しさを感じる場面。
不思議だと思う場面。
どの感じ方にも、その人らしさがあります。
美術の鑑賞では、知識を得ることだけでなく、自分の心が何に動かされたのかに気づくことも大切にしています。
鑑賞後の振り返り
映画を鑑賞した後は、次のような問いを通して、自分の感じたことを言葉にしていきます。
1.印象に残った場面は?
心に残った場面と、その理由を書いてみましょう。
2.ゴッホの色彩や筆遣いから何を感じましたか?
色の使い方や絵画表現について、気づいたことを書いてみましょう。
3.ゴッホの生き方について、どのように感じましたか?
映画を通して考えたことを、自分の言葉で表現してみましょう。
4.映画を鑑賞して、絵画に対する見方は変わりましたか?
新しく発見したことや、感じたことを自由に書いてみましょう。
アートを通して、人の心に触れる
美術の授業では、作品の技法や美術史を学ぶことも大切ですが、それと同じくらい、作品を通して自分自身の心と向き合う時間を大切にしています。
ゴッホの作品を見て、何を感じるのか。
その生き方に、何を思うのか。
そこに決まった正解はありません。
絵画は、時代や国境を越えて、人の心に語りかけてくれます。
映画『ゴッホ 最期の手紙』が、生徒たちにとって、絵画の魅力を再発見し、自分自身の感じ方を大切にするきっかけになればと思います。
