アートⅠ日誌

多視点画

近代絵画の父ーポール・セザンヌ

 ポール・セザンヌは、近代絵画の父といわれている。その理由は、描写における“新しいものの見方”を生み出したからだ。それまでの画家は、風景やモチーフを、固定された一点から見て作品を描いていた。けれどセザンヌは、そのことに疑問を抱く。なぜなら人は何かを見るとき、首を傾け顔を近づけ、さまざまな角度から観察する。単一の視点では、対象物のあり方を正確に描写できないはずだと、セザンヌは考えた。そして、複数の視点から対象物を観察し、それを一枚のキャンバスに落とし込んだ。

 この“多視点”という考え方が、絵画表現に新たな翼を与える。彼の思想に影響を受けた、パブロ・ピカソやジョルジュ・ブラックはキュビスムを築き上げ、アンリ・マティスはフォーヴィスムを切り開いていった。そして、これらの革新的な絵画運動を経て確立されたのが、ABSTRACTION=抽象絵画だ。20世紀に花ひらいたこの絵画表現は、いまも進化を続けている。

ポール・セザンヌ(Paul Cézanne, 1839年1月19日 – 1906年10月23日(墓碑には10月22日と記されているが,近年は23日説が有力[注釈 1]))は、フランスの画家。当初はクロード・モネやピエール=オーギュスト・ルノワールらとともに印象派のグループの一員として活動していたが、1880年代からグループを離れ、伝統的な絵画の約束事にとらわれない独自の絵画様式を探求した。ポスト印象派の画家として紹介されることが多く、キュビスムをはじめとする20世紀の美術に多大な影響を与えたことから、しばしば「近代絵画の父」として言及される。

セザンヌの下手