はじめに
好きな絵本を一冊みつける
まずは自分が好きな絵本を一冊探しだしてみましょう。そしてその本のどこがよいのか、観察してみてください。 絵の雰囲気、文章の書き方、本の大きさ、ページ数などです。好きな絵本を参考にすることはとても重要なことだからです。
ポイント
・好きな絵本からさまざまな情報を参考にしましょう。
テーマを考える
なにを描きたいかを考える
絵本には、じつにさまざまなジャンルがあります。まず自分が「なにを描きたいのか?」を考えてみましょう。
日常の生活を舞台としたものから、現実にはないファンタジーの世界、民話、歴史、社会、政治、科学、医学などがあります。
たくさんのジャンルの中から書きたい内容が見つかったら、誰に、何を、どうする本にしたいのかをひと言でまとめることを心掛けましょう。
【0~1歳の乳児向け絵本】
・食べ物、動物、乗り物など、身近なものを見て楽しめるもの
・いないいないばあ、かくれんぼ、だあれだ?など、親子の遊びをテーマとしたもの
・ガタガタ、ゴトゴトなど言葉の響きやリズムが楽しめるもの・赤、青、黄色、丸、三角、四角など色や形をあつかったもの
【2~3歳の幼児向け絵本】
・動物をあつかったもの
・植物あつかったもの
・おにごっこなど遊びをあつかったもの
・身近な生活をあつかったもの
・「ひらがな」などかんたんな知識をあつかったもの
・ごくごくかんたんな物語をあつかったもの
など
【4~6歳の幼児向け絵本】
・冒険やファンタジーなど夢があって好奇心が芽生えるもの
・日本や世界の昔話や民話などをあつかったもの
・動物をあつかったもの
・電車や働く車などの乗物をあつかったもの
・ひとりで買い物に行く、トイレに行く、服を着るなど身近な生活の題材をあつかったもの
など
【小学生向け絵本】
・人物関係、主人公の感情など、物語の背景がやや複雑な内容
【大人向け絵本】
・メッセージ性のあるもの
・哲学的な内容のもの
・写真やイラストなどを主体としたもの
・キャラクターもの
など
※ポイント
・読者の対象年齢を決めて、伝えたいテーマをひと言でまとめましょう。
キャラクター、登場人物を考える
書きたい内容が決まりましたら、次は登場人物を考えます。まずはどんなお話にも主人公が必要になります。それが人なのか、動物なのか、植物なのかはさまざまです。 魅力的な主人公をはじめ、個性的な登場人物を考えてみましょう。
主人公が決まりましたら、次に主人公を動かしてみてください。散歩をするのか、お使いにいくのか、本を読むのか。主人公の行動によって物語が進みはじめます。 どのような行動をおこすのか、じっくり考えましょう。
ポイント
・なにか行動をさせて魅力ある主人公をつくりましょう。
・子どもは自分より年下の主人公の絵本は読みたがらない。
・動物を主人公とする場合は、主人公の印象と性格にあった動物を選ぶ。
・女の子は男の子が主人公の絵本は読むが、男の子は女の子が主人公の絵本は読みたがらない傾向。
構成、起承転結、序破急を意識する
お話の展開には、いわゆる起承転結や序破急があります。有名な民話、童話には必ずこのような展開があります。魅力ある作品にするには、起承転結では「転」、序破急では「破」の部分でなにが起こるのかが重要になります。たくさんの作品を読んで展開を吸収して、アイディアを蓄えましょう。
ポイント
・起承転結は(起:舞台設定や登場人物、承:問題や事件発生、転:問題や事件に対する解決策、決:解決)を明確にしましょう。
・起承転結は「転」、序破急は「破」を工夫しましょう。
・幼児向け絵本のページ数は子どもの集中力を考慮して28ページ前後、多くても40ページ程度で考えましょう。
・文章は前ページの問題の解決ではじめて、新たな問題提起で終わるようにしましょう。
・文章は絵に描かれている以上の内容にならないようにこころがけましょう。
・楽しい場面は楽しいまま、悲しい場面は悲しいまま、見開きのムードはキープしましょう。
・文章は左に入れる文章は過去の要素、右に入れる文章は未来の要素をいれましょう。
絵コンテをつくる
絵コンテ(ラフスケッチ)の作成
登場人物を決めて、ストーリーが決まったら、絵コンテ(ラフスケッチ)を作成します。大まかなストーリーと絵を1ページずつわりふって、全体の流れを確認します。お話がスムーズに進んでいるか、お話にリズムがあるか、構図が単調になっていないかなど、チェックしましょう。
ポイント
・絵コンテは設計図として活用しましょう。
・場面を描く時は子どもが理解しやすいように、ひとつの見開きに2つ以上の場面が展開しないようにする。
・本の真ん中にかかるため人物を中心に置かないようにしましょう。
・横書き絵本は左から右へ、縦書き絵本は右から左へ進行させましょう。
・主人公が出会う人やものは右側から現れるように描きましょう。
・主人公が左端にいるときは行動前、右端にいるときは行動した後となるように描きましょう。
・主人公にとって怖いことや問題などマイナスの要素は右から左に動かすように描きましょう。主人公が出かけた先から帰る場合も右から左に動かすしましょう。
画材、画材を選ぶ
絵本にとって、絵は雰囲気を決める重要なものです。そのため画材えらびは重要になります。着色材にはクレヨン、水彩絵具、アクリル絵具、カラーペン、油性色鉛筆、水彩色鉛筆などさまざまなものがあります。紙にしてもクロッキーブック、水彩紙、ケント紙などがあります。作風にあった画材えらびも絵本づくりの楽しみのひとつです。
ポイント
・作品の雰囲気にあった画材えらびをしましょう。
本のサイズ
本のサイズを考えて原画を描く
原画(本番の絵)を描きはじめる前にサイズを決めます。原画サイズは本のサイズと同じでかまいませんが、ページの端まできれいに印刷するためには、本の実寸よりひとまわり大きく描くとよいのです。
絵本の主なサイズと原画サイズの参考
A5判縦長 タテ210mm×ヨコ148mm(タテヨコそれぞれ+5mm)
B5判縦長 タテ257mm×ヨコ182mm(タテヨコそれぞれ+5mm)
A4判縦長 タテ297mm×ヨコ210mm(タテヨコそれぞれ+5mm)
A5判横長 タテ148mm×ヨコ210mm(タテヨコそれぞれ+5mm)
B5判横長 タテ182mm×ヨコ257mm(タテヨコそれぞれ+5mm)
A4判横長 タテ210mm×ヨコ297mm(タテヨコそれぞれ+5mm)
例
0~1歳の乳児向け絵本
・正方形(182×182)推奨。あかちゃんの手に取りやすいサイズ
2~6歳の幼児、小学生向け絵本
・A4、B5(タテ、ヨコ)サイズ。
大人向け絵本
・A5サイズなど。鞄に入れて持ち歩けるサイズ、もしくはテーブルに置いてインテリアとしても楽しめる大判サイズ。
ポイント
・本のサイズよりタテヨコ5mmほど余分に描きましょう。
原画(絵)を描く
画材、サイズを決めたら、いよいよ原画を描きます。絵コンテを見ながら元気よく描きましょう。文章は原画に直接書き込まず、必ず別用紙に書きましょう。場面によって、スケール感の強弱を明確にすることも大切です。
ポイント
・文章は原画に書き込まず、別用紙に書きましょう。